『ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト』は、森永卓郎による経済批評書である。
日本の財務省が掲げる「財政均衡主義」を教義になぞらえ、その思想が政治家やメディア、そして多くの国民にまで浸透している現状を批判的に描いている。
著者は、増税や緊縮財政が長期的に日本経済を停滞させ、国民生活を圧迫してきたと指摘し、その背景には財務省主導の情報発信や世論形成があると論じている。
さらに、近年の経済政策やアベノミクスへの評価も交えつつ、財政均衡至上主義の危うさを浮き彫りにしている。難解な経済理論を避け、平易な語り口で書かれているため、経済に詳しくない読者でも理解しやすい。
風刺的なタイトルが示す通り、日本社会に深く根付いた「常識」を問い直し、読者に自らの視点で考えることを促す一冊である。
森永卓郎（もりなが たくろう、1957-2025）
日本の経済アナリスト、評論家であり、元獨協大学経済学部教授。東京大学経済学部を卒業後、経済企画庁やシンクタンクなどで経済分析を経験し、その後はメディアを中心に幅広く活躍した。専門はマクロ経済や労働問題で、とりわけ「年収300万円時代」という言葉を広め、日本社会における格差やデフレ経済の現実をわかりやすく伝えたことで知られる。庶民の視点を大切にし、生活感覚に基づいた論評や軽妙な語り口で支持を集めた。
また晩年は、財務省主導の緊縮財政路線を痛烈に批判し、『ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト』を著すなど、財政均衡主義をカルト的な思想として告発した。著書は経済や社会批評から趣味分野まで多彩であり、鉄道模型や収集活動などの一面でも知られる。経済と暮らしを結びつけ、わかりやすい言葉で問題提起を行った。
出版社 : フォレスト出版
発売日 : 2023/5/22
単行本 : 192ページ 日本語
ISBN : 9784866809311
サイズ : 19 x 13 x 1.5 cm
