江戸に多いもの、伊勢屋稲荷に犬の糞、と落語でネタにされるほど江戸には犬が多かった。犬はいつから増えたか、なぜ犬の糞は放置されたか…史料から当時の犬の生態に迫る。
江戸時代における犬の生活や人々との関わりを描いています。江戸の町に溢れる犬たちの姿を通じて、当時の社会や文化を浮き彫りにしています。
江戸時代、犬は町中に多く、落語のネタにもなるほどでした。仁科は、犬の糞が放置されていた背景や、犬がどのように増えていったのかを、当時の史料をもとに解説しています。
また、将軍の意向や社会情勢が犬の生活にどのように影響を与えたのかも考察されています。犬たちは、時に人々の生活の一部として、時に社会の中で翻弄されながらも生き抜いていたことが描かれています。
本書は、犬を通じて江戸時代の社会や人々の暮らしを知ることができる一冊です。犬好きな方はもちろん、歴史や文化に興味のある方にもおすすめの読み物です。
仁科邦男(にしな くにお、1911~2005)
日本の科学史・文化史研究者であり、江戸時代の社会や文化に関する著作で知られる。
東京帝国大学理学部卒業後、物理学や科学教育の分野で研究を重ねる傍ら、歴史的資料をもとに江戸時代の生活や風俗に関心を持ち、独自の視点で著作を発表した。代表作には『犬たちの江戸時代』があり、町中で暮らす犬と人々の関係を通して、当時の社会構造や文化的背景を分かりやすく描き出している。科学的な観察力と歴史的洞察を融合させることで、単なる史実の羅列にとどまらず、読者が当時の生活を肌で感じられるよう工夫している点が特徴である。
執筆活動を通じて、江戸文化や庶民の暮らしに新たな視点を提供し、歴史読み物としても高く評価されている。研究者としての緻密さと文章表現力を兼ね備え、幅広い読者層に歴史の面白さを伝え続けた。






