無料で「こども飯」を提供する『大衆食堂かざま』。
店のオーナーの息子・心也は、怪我で大好きなサッカーができなくなり、中学最後の夏休みを前に晴れない気持ちを持て余している。また心也は、時々こども飯を食べにくる同級生のことを気にしていた。一人は夕花。クラスから疎外され、義父との折り合いも悪い。もう一人は金髪パーマの不良、石村。友情と恋心、夏の逃避行。大人たちの深い想い。
〈子ども食堂〉から始まる思いやりの連鎖が、温かな奇跡を呼ぶ。傑作長篇、待望の文庫化!
森沢明夫(もりさわあきお、1969年生まれ)
日本の小説家。千葉県出身。大学卒業後に雑誌編集者を経て執筆活動を開始。2007年に『海を抱いたビー玉』でデビューし、以来、人間の心の機微や再生をテーマにした作品を多数発表している。
代表作『虹の岬の喫茶店』は吉永小百合主演で映画化され、人生に寄り添う温かな物語として多くの読者に愛されている。また『あなたへ』『癒し屋キリコの約束』『エミリの小さな包丁』『夏美のホタル』など映像化作品も多く、その作風は「泣ける」「心が温まる」と評される。家族や友情、地域社会とのつながりを大切に描き、現代人が忘れがちな優しさや希望を提示している。





